旅に対しての考え方やそのとらえ方は人それぞれで良いと思います。誰しもそこへ行くことだけを目的として旅に出かけようとしているのではなく、なんらかの目的や意味があって出かけるのだろうと思います。もちろん個人の自由ですから、目的を持たず旅に出かけたいという心境の時もあると思いますので、何も考えずにふらっと出かける旅があっても良いと思います。
「月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人なり」というくだりで始まる『奥の細道』という芭蕉の綴りで、船の中で暮らす人や、馬の口を取って暮らしている人達などは日々の生活が旅であり、旅の中にその人達の人生がある。人生は旅である。…と言っている記憶があります。国内海外を問わずその道のりや時間の長短でもなくどこへ行こうとも家を離れればそれはひとつの旅であるという世俗を離れ、言わば、自由人として旅に半生を費やした芭蕉ならではのとらえ方がそこにあると思います。
私の旅もまだ途中であり、旅についての考察など唱えるべくもありませんが、どんな旅をしたいかと問われれば、椎名誠さんのように世界の秘境を旅してみたいと思いますし、又、世界ウルルン紀行のような現地の人々との出会いやあたたかい交流が生まれるようなそんな旅をしたいと思っています。何ら価値のつけようもない旅であってはならないこと、少しでも人との交流があること、只、そこへ行ってきたというだけではなく、現地の友達でも、旅行会社が用意したツアーガイドでも、誰でも良いですから、その国や土地にまつわる話しなどを聞き、現地のぬくもりを感じるような、そんな旅でなくてはならないと思います。
私の場合、旅をするということは、安住の地を求めようとする行為であり、その終焉の地はやはり、我が家なのではないだろうか、そんな気がします。
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